藤井聡太八冠の神の一手blog

藤井聡太八冠の神の一手を三択の次の一手問題形式で出題します。※ Amazonのアソシエイトとして、当メディアは適格販売により収入を得ています。

攻めを繋ぐ一手は? vs.星野良生四段

 2017年4月13日、星野良生四段戦。
 星野四段はゴキゲン中飛車対策の「超速37銀」戦法の開発者で、升田幸三賞を受賞したこともある序盤巧者。
 本譜も飛車先を交換させる矢倉という珍しい戦型を選択し、藤井四段の対応力が問われる展開となった。

 図は84手目、24銀と後手が受けのスクラムを作った局面。先手陣は堅いが、駒が左辺に偏っており攻めを切らされる恐れもある。藤井四段の次の一手は?

難易度 ★★★☆☆

①42歩②73歩成③35歩

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正解は①42歩

 42歩が焦点の歩。どの駒で取っても後の桂を入手しての34桂が残る形となる。
 ②73歩成は手順前後で、桂馬を活用されてしまい、先手は桂馬を取っても使い所がない。③35歩は36歩と打たれ、B面攻撃で攻めを切らされてしまう。

 本譜は狙いの桂打ちから攻めを繋いだ藤井四段がそのまま攻め倒した。

棋譜はこちらから

https://shogidb2.com/games/6379e47108a083425940d0d78fc30bbd001b1f2a

 

終盤の斬り合い vs.深浦康市九段

 2017年4月9日、炎の七番勝負第五局の相手は深浦康市九段。
 炎の七番勝負五戦目にして、ついにタイトル経験者のA級棋士が登場した。深浦九段の粘り強く手厚い指し回しに若き天才はどう対抗するか注目された。
 戦型は相矢倉で深浦九段が森下システムを選択。後手の藤井四段は受けに回ってカウンターを狙う展開となった。

 図は113手目、終盤の秘術を尽くした応酬の末に、深浦九段が11香成と香車を取った局面。手番が回ってきた藤井四段は、決め手を用意していた。

難易度 ★★★★★

①25歩②78龍③66金

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正解は①25歩

 ①25歩が金が入れば先手玉は詰みと読み切った好手。
 ②78龍や③66金では先手玉はまだ詰まない。

 本譜は金を逃げるようでは勝ちがないと見た深浦九段が潔く首を差し出し、藤井四段が見事に即詰みに打ち取った。

棋譜はこちらから

https://shogidb2.com/games/9b31c1fd88259916d50df4be8d27aaa2981d0cac

 

逆転を呼ぶ奇手 vs.小林裕士七段

 2017年4月4日、小林裕士七段戦。
 小林七段は早指しを得意とする、重厚な棋風のベテラン棋士
 戦型は角換わりとなったが、小林七段の鍛の入った先手角換わりに藤井四段は苦戦の展開。

 図は91手目、74歩と小林七段が桂取りに歩を打った局面。なんとか喰らいつき勝負形に持ち込みたい藤井四段が指した手は?

難易度 ★★★☆☆

①85桂②65桂③96歩

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正解は②65桂

 タダの所に桂を跳ねたのが逆転を呼ぶ奇手。同歩は空いた空間に66歩と垂らすのがうるさいと見ている。
 ①85桂や②96歩も普通の手だが、敢えてタダの所に跳ねることで局面を複雑化させ、逆転を狙うのが一流の勝負術だ。

 本譜はうまく攻めを繋いだ藤井四段が逆転し、攻め切ることに成功した。

棋譜はこちらから

https://shogidb2.com/games/dedcf83546e211323f02f6b89839951078aed11e

 

悩ましい突き捨て vs.中村太地六段

 2017年4月2日、炎の七番勝負第四局の相手は中村太地六段。

 中村六段は斬れ味鋭い攻め将棋。本譜も後手番ながら角換わり腰掛け銀で端を省略して攻めに出る作戦を選択した。

 図は42手目、中村六段が75歩と突き捨てた局面。どう対応するか悩ましいが、藤井四段の選択は?

難易度 ★☆☆☆☆

①75同歩②75同銀③46角

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正解は③46角

 突き捨ては相手にせず、46角と睨みを効かせるのが正解。
 ①75同歩は△86歩▲同歩△同飛が銀に当たり十字飛車となる。②75同銀には39角が強烈な一手。
 本譜も打った角が終盤まで左右に睨みを効かせ、盤面全体を支配した藤井四段が勝利した。

棋譜はこちらから

https://shogidb2.com/games/b7fae3a8b017ffd931c71b03b0924d4a5708394d

鬼手一閃! vs.斎藤慎太郎七段

 2017年3月26日、炎の七番勝負第3局は斎藤慎太郎七段戦。
 1勝1敗で迎えた第3局は藤井四段にとって正念場。連敗は避けたいところだ。
 斎藤慎太郎七段は藤井四段と同じく詰将棋で鍛えた終盤力が自慢の本格派居飛車党。しかし、本局では前局の永瀬六段と同じく、ゴキゲン中飛車を採用した。

 図は44手目、斎藤七段が44角と飛車にヒモを付けつつ逆に飛車取りをかけた局面。攻防の角打ちが決まり薄い先手玉はピンチに見えるが、藤井四段は更なる返し技を用意していた。

難易度 ★★★☆☆

①74桂②55角③56飛

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正解は③56飛!

 タダの所に飛車を移動させる鬼手が正解。同飛は74桂以下の詰みとなるため、この飛車は取れない。
 ①74桂は手順前後で本譜の順に進んだ時に桂損となる。②55角は同角で44角の狙いもあり支えきれない。
 
 本譜は駒得を重ねた藤井四段が手厚く受けて中押し勝となった。

棋譜はこちらから

https://shogidb2.com/games/c990f8a09ad6067f6b403f81e2adec86ada3adba

絶品の斬れ味 vs.大橋貴洸四段

 2017年3月10日、大橋四段とは二度目の対局。前回は角換わりを採用し逆転を喫した大橋四段だったが、今回は三間飛車を採用。藤井四段の穴熊に対し速攻を仕掛ける展開となった。

 図は72手目62歩と大橋四段が受けた局面。攻め切るのは難しく見えるが……?

難易度 ★★☆☆☆

①72金②74桂③53桂

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正解は①72金

②74桂、③53桂はいずれも同歩で攻めきれない。
 本譜は①72金に△同金▲同龍△同玉▲64桂からZを生かした絶品の斬れ味で寄せ切ってしまった。

棋譜はこちらから

https://shogidb2.com/games/f812ca6741898f346163e10aead00c6962e703e6

運命の出会いはゴキゲン中飛車 vs.永瀬拓矢六段

 2017年3月19日、炎の七番勝負第二局の相手は永瀬拓矢六段。タイトル挑戦の経験もある若手強豪で、圧倒的勉強量に裏付けられた「負けない将棋」に定評がある。

 居飛車党に転向していた永瀬六段だったが、本局はゴキゲン中飛車を選択。振り飛車らしい巧みな駒捌きで藤井四段は苦戦の展開となった。

 図は113手目79角と藤井四段が粘りの一手を放った局面。一手空けば61龍で逆転が見えてくるが、永瀬六段は決め手を用意していた。

難易度 ★★★☆☆

①68銀成 ②88銀 ③88金

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正解は②88銀

①68銀成は同角で攻めの手がかりがなくなる。③88金は▲同玉△68銀成▲同角△同角成のときに▲78金で粘られる。

 本譜は88銀を見て藤井四段の投了となった。勝利した永瀬六段は藤井四段の最善を目指し読みを深める姿に感銘を受け、後日連絡を取り研究会を申し込んだという。この二人の運命の出会いが後の将棋界を大きく変えることとなる。

棋譜はこちらから

https://shogidb2.com/games/e3bfeb17fb8f441b93404e231e108125e6ff31f1